NM・EXなど海外式の状態表記の読み方と注意点
海外式の状態表記とは、NMやLPのように英語の略号でカードの傷み具合を示す言い方のことで、主に海外の取引で使われてきた慣用の表現です。結論から言うと、これらの略号は公的に統一された規格として定められているものではなく、使う場によって幅があります。日本の買取店が使う状態ランクや、鑑定会社が付けるグレードとも別のものです。この記事では略号のおおまかな意味、他の区分との関係、見かけたときの確認の仕方を整理します。カードごとの参考価格は相場データベースで確認できます。
略号は市場で使われてきた言い方
カードの状態を表す言い方には、大きく三つの体系があります。ひとつは海外の市場で使われてきた英語の略号、もうひとつは日本の買取店が社内で用いる状態ランク、そしてもうひとつが鑑定会社の付けるグレードです。
三つは決め方も目的も違う
この三つは、見ている対象は同じでも、決め方も目的も違います。略号は取引の当事者どうしが手早く状態を伝えるための言い方で、買取店の状態ランクは値付けのための社内の区分、鑑定グレードは第三者が封入して示す評価です。
由来をたどると、略号は海外の店頭や通信の取引で、限られた文字数で状態を伝える必要から広まった言い方だと考えられます。短く書けることが利点である一方、細かい違いを表しきれないという弱点もそのまま残っています。
混乱が起きやすいのは、どれも「状態を表している」という一点で共通しているためです。同じカードでも、どの体系で語っているかによって言葉が変わります。
表記が変わっても物は変わらない
もうひとつ知っておきたいのは、どの体系も「同じカードを別の言葉で説明している」だけだという点です。物そのものが変わるわけではありません。表記が変われば価値が変わるように見えるのは、判断の枠組みが入れ替わっているからです。
買取の現場で使われる区分については状態ランクと査定基準に、用語そのものの意味は買取でよく出る用語の意味にまとめています。
よく見かける略号のおおまかな意味
海外の取引でよく見る略号を並べると、次のようになります。あくまで一般的に使われている意味であり、出品者や場によって幅があります。2026年9月時点で、これらを定めた公的な統一規格は確認できていません。
| 略号 | 元の言い方 | おおまかな意味 |
|---|---|---|
| NM | Near Mint | ほぼ新品に近い、目立つ傷みが見られない状態 |
| EX | Excellent | 軽い使用感はあるが全体として良好とされる状態 |
| LP | Lightly Played | 使用の跡が分かる程度の傷みがある状態 |
| MP | Moderately Played | 傷みがはっきり分かる状態 |
| HP | Heavily Played | 傷みが強く、遠目にも分かる状態 |
| DMG | Damaged | 折れや欠けなど、明確な損傷がある状態 |
段階の数はそろっていない
表記の書き方にも幅があります。NMとEXの間に別の段階を置く場合もあれば、NMより上の段階を設けている場合もあります。段階の数がそろっていない以上、他の場所の表記とそのまま比べることはできません。
また、略号の後ろに補足が付くこともあります。角の傷みだけを指す注記や、表面の擦れだけに触れる注記など、書き手が気にしている点が添えられている場合です。こうした補足のほうが、略号そのものより多くを語っていることも珍しくありません。
境目は人によって動く
並べてみると分かるとおり、境目は言葉でしか区切られていません。どこからLPでどこまでEXなのかは、判断する人によって動きます。数値で区切られた基準ではない、という点が扱ううえでの前提になります。
英語版のカードそのものの扱いは英語版・海外版ポケカの買取で扱っています。
日本の買取店の区分とは対応しない
対応表は作らないほうがよい
「NMは日本でいう美品」といった対応表を作りたくなりますが、これは避けたほうが無難です。買取店の状態ランクは各社の社内基準であり、区分の数も、何を減額の対象とするかも店舗によって異なるためです。
| 比べる点 | 海外式の略号 | 買取店の状態ランク |
|---|---|---|
| 決める人 | 出品者や取引の当事者 | 店舗の担当者が社内基準で判断 |
| 目的 | 状態を短く伝えること | 値付けの根拠にすること |
| 区切りの数 | 場によって異なる | 店舗ごとに設定が異なる |
| 示す形 | 説明文の中の略号 | 査定の区分と減額の説明 |
もうひとつ、日本の買取では状態のほかに、そのカードの需要や在庫の状況も金額に関わってきます。状態の表記が同じでも、扱いが変わることがあるのはこのためです。状態は判断材料のひとつであって、すべてではありません。
表記は参考、判断は現物
そのため、海外式の表記で買ったカードを日本の店に持ち込んだ場合、表記どおりの評価になるとは限りません。表記は参考として扱い、実際の判断は現物で行われると考えておくほうが行き違いが起きにくくなります。
買取表に書かれた条件の読み方は買取表の読み方にまとめています。
鑑定会社のグレードとも別のもの
鑑定会社が付けるグレードは、第三者が一定の手順で評価し、ケースに封入して示すものです。ここで使われる数字や表記は、その会社の基準に沿って付けられます。
鑑定では、表面の状態だけでなく、絵柄の位置のずれのような要素も見られます。手に取って眺めるだけでは気づきにくい点まで対象になるため、略号での言い方とは粒度がそもそも異なります。
したがって、説明文の中で使われている略号と、鑑定済みのカードに付いた表記は、由来がまったく違います。前者は当事者の言い方、後者は評価機関の判断です。
鑑定の流れや考え方は鑑定の考え方に、会社ごとの違いは鑑定会社の違いと選び方にまとめています。
なぜ同じカードでも表記がずれるのか
同じカードなのに、人によって言うことが違う。これは表記を使ううえで避けて通れない部分です。原因が分かっていれば、食い違いが起きたときに相手を疑うのではなく、条件をそろえて確かめ直す方向に話を進められます。
ずれの原因は三つ
ずれの原因は大きく三つあります。ひとつは見る人が違うこと。もうひとつは、光の当て方や角度で見え方が変わること。そして、どの程度までを許容するかという線が人によって違うことです。
特に反射のある加工が施されたカードでは、角度によって傷が見えたり見えなかったりします。写真では分からず、手に取って初めて気づくということも起こります。
表記はある時点の見立て
時間の経過という要素もあります。表記が付けられた時点と、手元に届く時点の間に輸送や保管が挟まれば、その間に状態が変わることもあり得ます。表記はある時点の見立てである、という前提で読むほうが安全です。
だからこそ、略号だけで判断せず、写真や説明文と合わせて読むことが前提になります。書かれていないことは、良い状態であることの証明にはなりません。
表記を見たときに確認すること
見る順番は写真、説明文、略号
確認の順番としては、まず写真を見て、次に説明文を読み、最後に略号を見るという流れが実務的です。略号を先に見ると、その印象に引きずられて写真の見え方まで変わってしまうためです。
説明が少ない場合は、質問して構いません。答えが返ってこない、あるいは曖昧なままであれば、その状態も判断材料のひとつになります。
略号があるときの四点
略号が書かれている場合、確認したいのは四点です。誰が判断した表記なのか、写真は全体と寄りの両方があるか、傷の有無について説明文で触れているか、そして返品や交換の条件がどうなっているか。
このうち見落とされやすいのが、返品や交換の条件です。状態の受け取り方に幅がある以上、認識が食い違ったときにどうするかを先に確かめておくと、後のやり取りが短く済みます。
状態は特定のための情報
取引の記録という観点でも、状態は無視できない要素です。古物営業法では、古物商が帳簿等に記載する事項として「古物の特徴」が挙げられています。状態は、そのカードを特定するための情報でもあるということです。
通信販売では、表示すべき事項が定められています。返品の可否や条件を含め、消費者庁の解説ページで一般的な決まりを確認できます。
自分が使うときは言い換えを添える
日本語の言い換えを添える
自分が出品などで状態を書く場合、略号だけで済ませると、受け取る側の想定と食い違うことがあります。略号に日本語の言い換えを添えるだけでも、行き違いはかなり減ります。
写真の枚数も効きます。全体が分かる一枚に加えて、角と縁が分かる寄りの写真を添えると、言葉で説明しきれない部分を補えます。反射のある加工では、角度を変えた写真を複数枚用意すると伝わりやすくなります。
気になる箇所は先に書く
気になる箇所がある場合は、先に書くほうが安全です。後から発覚するより、最初から伝わっているほうが、結果として話が早く進みます。
そして、書いた内容と現物が一致していることが何より大切です。良く見せようとして曖昧な言い方を選ぶと、届いた後に説明を求められ、結局は自分の手間が増えます。伝えにくい点ほど、先に文章にしておくほうが早く終わります。
手間は小さく、効果は大きい
まとめると、略号に日本語の言い換えを添える、気になる箇所を先に書く、全体と寄りの写真を添える、の三点です。どれも手間としては小さく、後のやり取りを減らす効果のほうが大きくなります。
出品にあたっての準備は自分で出品して売るときの準備にまとめています。カードの特定に迷う場合は相場データに載っていないカードもあわせて確認してください。
やってはいけないこと
略号を日本の状態ランクへ機械的に読み替えること。基準の由来が違うため、対応させると誤解が生まれます。
略号だけを見て、写真や説明文を確認せずに判断すること。境目は言葉でしか区切られていません。
自分が書くときに、実際より良い側の略号を選ぶこと。受け取った側との認識のずれは、結局こちらの手間として戻ってきます。
状態が気になるからといって、拭いたり削ったりして手を加えること。紙の性質上、かえって状態が変わってしまう可能性があります。
写真を明るく加工しすぎること。傷が見えにくくなり、届いた後の説明が難しくなります。
鑑定済みのケースを開けて、自分で状態を言い直そうとすること。鑑定の前提そのものが変わります。
まとめ|略号は目安、判断は現物
海外式の略号は、状態を短く伝えるための慣用の言い方です。公的に統一された規格は確認できておらず、境目は判断する人によって動きます。
日本の買取店の状態ランクは各社の社内基準、鑑定グレードは評価機関の判断で、いずれも略号とは別の体系です。読み替えず、それぞれの文脈で受け取るほうが行き違いを防げます。
手元のカードの位置づけを確かめたいときは、高額買取ランキングと相場データベースもあわせて確認してください。取引で困ったときは、全国の消費生活センター等に相談する方法もあります。
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